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THE INTERVIEWS #1

Q.
ハーフに生まれて得したことがあれば教えて下さい。

ギャル(イメージ)

ギャル(イメージ)

A.
違う国籍(民族・人種)を持った両親から生まれた人が『ハーフ』と呼称され、僕はポルトガル人の父と日本人の母から生まれたハーフです。でも、僕自身は日本で生まれ、日本の教育を受けて育ち、1週間程度の海外旅行以外は日本で日本人に囲まれて暮らす、普通の日本人です。
ハードウェアは洋物だけど、インストールされたソフトウェアは全部和物。
ポルトガルへ行ったこと無いし、ポルトガル語は喋れないし、日本語と中学生レベルの英語とbasicとcとshとperlとphpとsqlとjavascriptを少々。ちょっと外人ヅラで外人名ですけど、由緒正しき日本のパソコンオタク。


僕のように「ハーフとして生まれたけど、バイリンガルでもなく、海外居住経験もなく、日本の名前で、世に期待されるハーフ的因子を持たないハーフ」を、僕は『残念なハーフ』と呼んでいます。
残念なハーフ達は「え、おまえ、英語、喋れないの?なんで?」とか「え、母国なのに行ったこと無いの?なんで?」とか「え、名前は一郎なの?ミドルネームは?無いの?なんで?」とか、本人の責に拠らない勝手な期待を負わされ、またそれを裏切ることにより失望の目を向けられる、謂れ無き迫害に怯えながら暮らしています。
「ハーフは半分という意味で差別的だから、ハーフと呼ばずにダブルと呼ぶ」とかいう言葉狩り主義者は全然本質が見えてない。問題はそんなところには無い。
日本に定住して、両親が日本語で話していたら、普通の日本人に育ちますよ。金髪碧眼で秋田弁しか喋れない加賀谷一郎君の生活とか、想像するだに恐ろしい。

この残念なハーフ達は、自ら「残念なハーフである」と名乗ることは無いので、外国語を話す状況の発生や、海外旅行の話題等で発覚する以外では認知されづらく、実数は把握されていませんが、相当数存在すると考えられます。
あなたの周りにも、沖縄出身の日本人だと思っていたら実はハーフでした。とか、地黒で天パの日本人だと思っていたら実はハーフでした。とか、残念なハーフ達が隠れているかもしれません。

で、この苦しみは残念なハーフ以外にはなかなか理解してもらえない。残念なハーフ同士でしか共有出来ない。「えー、なんで?なんかイイじゃん。羨ましいよ」とか言われる。お前ら全然わかってない。
残念じゃないハーフ(バイリンガルで、海外居住経験があり、ミドルネームを持つハーフ)にも理解されない。アイツらはハーフ界の上流階級であり、アイツらがハーフ然としているせいで僕らが残念がられるわけで、むしろ敵。

将来的には『全日本残念ハーフ協会』を設立して残念なハーフの地位向上に努めたいと考えています。


ひとつ、僕が体験した出来事をお話しましょう。

ある日、六本木のとあるクラブで、美人な、日本人の、知らないギャルに話しかけられたのです。
大音響のナイトクラブでの出来事ですから壁際の暗がりで肩に手を置いて耳元で「w r u from?」なんつって英語で(パルプ・フィクションのユマ・サーマンでご再生ください)。ナンパだ!逆ナンだ!きゃー!
で、僕は答えたわけですよ「笹塚から来ました」とか、日本語で。
「sasazucca? それどこ?」とギャル。
「京王線の笹塚。新宿から1駅。京王新線だと3駅。急行は止まるけど特急は止まらない。知らない?」と僕。
「あー、そういうことじゃなくてー、訊きたいのは what country なんだけどー、ていうか日本語すごい上手だね、日本に住んで長いの?」
「30年以上住んでいます」
「え?」
「え?」
「日本人?」とギャル。
「日本人」と僕。
そこでその美人なギャルは「やべー、こいつ偽物だわ」みたいに目をグルンと回して、肩をすくめて、クルッと回れ右して立ち去るわけですよ、無言で。
壁際でビール片手に独り佇む僕。

なんだこれ。僕は何も悪く無いのに、僕が話しかけたわけでもないのに、若干の個人情報を開示しただけなのに、僕が騙したみたいになってんの。ファッキンビッチ!


えーと、質問は「ハーフに生まれて得したこと」でしたね。
答えは「日本語の発音を褒めて貰える」です。

THE INTERVIEWS より

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